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定期報告とは、どのような制度?

定期報告とは
定期報告制度の概要

定期報告は建築基準法により定められた報告制度です。(注:消防設備の点検・報告は消防法に定められた制度です。)

建築基準法の第8条に『建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない。』と定められております。建物を所有・管理している人は建築基準法で例外なく、適切な維持管理義務があることが明記されています。そしてその上で、第12条に『資格を有する者にその状況の調査をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。』と定められています。

制度としては昭和45年の法改正により誕生し、近年の建物事故を受けて、この制度の徹底を進めているところです。近年では、平成20年と平成28年に大きな法改正を行い、制度の内容、調査・検査の内容もより厳格になり、対象となる建築物も拡大されています。
実際の運用部分は、各地の実情に合わせるため各都道府県・市区町村等の特定行政庁に委ねられていますが、平成28年の法改正では国が政令で最低限の対象建築物の用途や規模を指定するようになりました。これは火災事故等の発生時において、高齢者等の避難困難者の方を優先した形です。その他はにおいて都道府県や市町村によって報告年度や報告内容等に違いがあります。

定期報告には「特定建築物」「建築設備」「防火設備」「昇降機等」と種類があります。(※準用工作物は除いています。)
エレベーターなどの昇降機等は、エレベーターの保守点検業者が請け負うことが多い為、ここでの説明は省略させて頂きます。多くの建物で対象となるのが「特定建築物」「建築設備」と新設の「防火設備」の3種類となります。

※平成28年5月以前までは「特殊建築物」という言葉が使われていましたが、国土交通省は法改正に伴い「特定建築物」 という言葉を使用しています。特定建築物という名称は、他の法規や基準で使用されていることもあるため混同しやすく、各行政庁でも従来の「特殊建築物」の名称でホームページに掲載されている場合がまだありますが、いずれ統一されると思われます。

定期報告の内容とは・・・

建物を安全に維持保全するのが目的

建物が建設され利用されるまでには、
企画・設計 →【確認申請】→【中間検査】→【完了検査】→ 利用開始
というように、竣工して利用されるときには、適法に検査を受けていれば安全性は確保されていることになります。
しかし、当然ながらその後の安全性の確保は、所有者や管理者に委ねられます。その為、事故などが起こらないように、適法に保たれているか、建物の維持管理がきちんとできているかをチェックするのが定期報告制度です。

※定期報告制度にも、「報告義務違反」や「虚偽報告」に関する罰則があります。罰則ページ

特定建築物の定期調査では、どんな調査をするのか?

特定建築物(外壁調査)イメージ

調査内容については大きく分けて6項目あります。

1.敷地及び地盤
2.建築物の外部
3.屋上及び屋根
4.建築物の内部
5.避難施設等
6.その他(免震装置、避雷設備など)

この6項目の中にさらに細かく調査項目が分かれています。この細かく分かれた項目について、劣化状況や防火区画等の法的な問題などをチェックしていきます。そして、その内容を報告書にまとめて特定行政庁へ報告します。
平成20年の法改正に伴い、調査項目が追加され、是正箇所の写真添付も必要になりました。
弊社では、事前・事後の打合せをしっかり行うことにより、問題箇所の把握と提出内容の説明を徹底しています。建物の資産価値を守り、建物を安全に使用できるように、維持管理のサポート役として、なんでも気軽にご相談ください。

建築設備の定期検査では、どんな検査をするのか?

建築設備(非常用照明)イメージ

対象となる建築設備は3つ 又は 4つです。

1.機械換気設備
2.機械排煙設備
3.非常用照明装置
4.給水設備及び排水設備(※行政庁により対象外のところも多い)

大阪府では「給水設備及び排水設備」を除く3種類が定期報告の対象となっています。
目視での状況確認はもちろん、機器を実際に作動させ検査します。

機械換気設備では主にガス機器等のある「火気使用室」と、外気に面する窓のない「無窓の居室」の換気量を測定します。
機械排煙設備の検査では、排煙機本体と各フロアの区画に設置された排煙口での風量を測定します。
非常用照明の検査では、点灯確認に加え、避難経路の照度測定も行います。火災等で電源が失われた場合でも、安全に避難ができるように最低限の照度が確保されているかチェックしなければなりません。

防火設備の定期検査では、どんな検査をするのか?

防火設備(防火扉)イメージ

対象となる防火設備は主に4つになります。

1.防火扉
2.防火シャッター
3.耐火クロススクリーン
4.ドレンチャー等

近年の火災事故で、防火設備が適切に機能しなかったために被害が拡大したとして、平成28年6月1日施行の法改正で防火設備の定期検査が新設されました。目視での損傷や変形といった状態の確認はもちろん、実際に感知器を作動させ、連動して防火設備が作動・閉鎖することを確認することに主眼がおかれています。

耐火クロススクリーンやドレンチャーといった防火設備が設置されている建物は比較的少ないといえますが、防火扉、防火シャッターは大半の建物に設置されています。ただし、今回の報告対象となる防火設備は「随時閉鎖式」のものとなります。つまり、連動機構などがなく常に閉鎖状態にしてある防火扉は対象となりません。火災時に自動的に閉鎖するものが対象となります。
所有・管理されている建物にどういった防火設備が設置されているか、そして報告対象となるかを判断しなければなりません。

定期報告制度の現在と今後

国土交通省、特定行政庁の対応について

近年、建築物の事故が後を絶たず、事故調査や安全対策・適正な維持管理の実施に向けて行政も力を入れています。

例えば、2008年10月に発生した大阪難波の「個室ビデオ店放火事件」後、これまで対象でなかった小規模の個室ビデオ店やカラオケ店、ネットカフェ等も大阪では定期報告の対象となりました。また2012年5月に発生した「福山ホテル火災」の事故後、全国的に特定行政庁や消防によるホテル等への立入調査が実施されました。この時には、違法な増改築が問題となり、各地で是正指導がされています。
さらには福岡市の整形外科医院で発生した火災死亡事故や、2015年の川崎市簡易宿泊所火災事故の際にも、事故後全国の関連建物に対して立入検査が行われました。この事故で、防火扉の不適切な管理が問題となり、また特定行政庁によって定期報告の対象建物にばらつきがあることも指摘されました。その結果、平成28年6月の法改正での「防火設備検査報告」の新設や政令での一律の対象建物指定につながったといえます。

このように各地での事故後、行政側も対応に迫られることとなりました。そのたびにこの定期報告制度の活用、徹底が言われ、何度かの大きな法改正を経て現在に至っています。定期報告に限らず、現在建築に関連する法規は、より厳格により複雑になっている傾向があります。この傾向は、今後も続くでしょう。

これまでは特に指導を受けることもなかったので大丈夫と油断はできません。もし大きな事故が起これば、所有者・管理者様の管理者責任が問われます。先述の福山ホテル火災事故や福岡整形外火災事故では、書類送検され刑事責任までを問われています。

過去には、検査済証を取得していない建物が大半の時代もありました。しかし今では新築するほとんどの建物で完了検査を受け検査済証を取得しています。定期報告も同様に、少しずつ認識が変わってきており、全国的に報告率も伸びています。今後は法的は手続きを行っていないことが大きなマイナス要因となってしまいかねません。近年の風潮では、こういった法的義務を怠っていることが大きな批判の矛先になってしまいます。

せっかく実施するからには、適切な維持管理のために、定期報告制度をしっかり活用することを弊社ではおすすめしています。

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