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定期報告の罰則規定の内容とは?

定期報告制度の罰則と、管理者責任について
定期報告を提出しなかったり、虚偽報告した場合の罰則とは?

よくお問合せ頂く内容の中に、「定期報告を提出しない場合、何か罰則はあるんですか?」というものがあります。
この質問に対する答えは「罰則規定はあります」という事になります。
では、定期報告に関する罰則規定はどのような内容なのか、また、最近の建物事故から、万が一管理する建物で事故が起きた場合の管理者責任についても考えてみましょう。

定期報告に関する罰則

建築基準法 第101条に罰則規定が記載

実際の条項の抜粋を以下に記します。


 第7章 罰則 第101条
  次の各号のいずれかに該当する者は、100万円以下の罰金に処する。
  二 第12条第1項又は第3項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
 


定期報告制度は、建築基準法の第12条に定められた制度です。
上記条文に出てくる第1項又は第3項というのは、建築物と昇降機、建築設備について『定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は国土交通大臣が定める資格を有する者に調査(検査)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。』と記載されている箇所です。

つまり、定期報告を提出しなかったり、虚偽の報告をした場合は、100万円以下の罰金の処分を受ける可能性があるという事になります。

各行政庁から届く定期報告の通知を無視し、提出期限までに報告を行わない場合には「督促」状が送付されます。大阪府では、12月25日までの期限に報告がなかった建物に対して、年明け1月下旬から2月初旬に督促通知が送られ、年度内(3月)までの報告を求めます。(※各行政庁により、通知の時期や回数などは異なります。)

定期報告業務を実際に行ってきた中で、罰金の処分が行われたというケースは現状把握できていません。その為、よほど悪質なケース等でしか処分されることはないように思います。しかし、近年の重大な建物事故を受け、定期報告制度に関わる法規が何度も改正されてきたことを考えますと、国土交通省や特定行政庁も定期報告制度の徹底・既存建築物の安全対策に力を入れてきていますので、今後の対応に注視が必要だと感じています。

罰則規定のあるなしに関わらず、建物利用者の安全の為、この制度を利用して建物の状態を把握し、長寿命化に努めるといった姿勢の方が、長い目で見れば所有者・管理者様の利益につながると思います。
万が一法違反をしている建物などで事故が起きた場合は、責任問題も発生し行政処分の罰金だけでは済まされません。管理者側の法違反や管理不備による死亡事故等が起これば、刑事責任まで問われてしまいます。そのようなことが起きないようにする為にも、せっかく調査・検査を実施するのですから、定期報告を有効に活用して頂ければと思います。

特定行政庁が『立入検査』『防災査察』を実施

定期的なチェックと、日頃からの防災対策

平成24年5月に発生した「福山ホテル火災」事故を受け、直後に全国のホテル・旅館を対象にした立入検査、防災査察が実施されました。また平成27年5月17日には、神奈川県川崎市の簡易宿泊所で起きた火災事故後にも、全国的に簡易宿泊所等に対する立入検査が実施されました。その結果、弊社にも所有者様・管理者様よりお問合せを頂き、査察の結果通知を目にする機会がありました。

内容はやはり、防火区画、避難規定、非常用照明、間仕切壁の準耐火、排煙設備などの問題が指摘されています。さらに、届出のない違法な増改築なども同時に指摘されており、これらすべてを改善するとなると、相当の費用負担を覚悟しなければなりません。もちろん、定期報告の未提出についてもすぐに報告するように指示されています。

建物の管理者責任について

刑事責任まで問われるケースも

平成25年10月に起きた福岡市博多区の整形外科火災事故では、後に防火管理を徹底しなかったとして業務上過失致死傷の疑いで院長が書類送検されています。10名の入院患者が亡くなるという痛ましい事故でしたが、防火設備が機能していれば失わずに済んだ命もあったかもしれません。
万が一の為にも、定期的に建物の状態を点検し、法違反の状態が放置されていないか、避難上の支障になるものがないか、防火設備の作動に問題がないか等を把握しておくことは、事前の防災対策でとても重要になってきます。

また、この事故のケースでは、防火扉をストッパーで固定しており、消防検査で指摘を受けていました。(定期報告の対象になっていれば、特殊建築物の定期調査でも指摘されていたでしょう。)にもかかわらず適切に改善されていなかったのです。しかしこれは、実によくある話で、建物の使用上防火扉の開閉が非常に面倒であったり、ヒューズやマグネットの不良で勝手に閉まってしまうので、折ったダンボールなどを詰めたりと、調査時によく見かけます。悪意はないのでしょうが、やはり防火管理上の問題があったと言われても仕方がありません。

このような責任は、最終的に所有者・管理者様の管理責任となります。これまで調査業務を行ってきた中で、それぞれに事情があることは重々承知しています。しかしそれでも、定期調査・定期検査報告、消防検査をきちんと実施され、防火や避難に関する指摘箇所は、すぐに是正しておくことが大切です。
※消防では、消防法違反の物件についてHPで物件名等を公表しています。一度名前が出てしまうと、入居者やテナント様からの信頼を低下させてしまいかねません。近年、定期報告でも公表制度を実施する特定行政庁が増えてきました。細かな指摘内容まで公表しているところは一部ですが、報告済みか「未報告」かは誰でも見られるようになっています。

ぜひ、建築基準法の定期報告や消防法の消防点検をしっかり活用して頂き、建物の安全管理に少しでも意識を向けて頂けたら思います。法的な問題等わかりにくいこともあるかと思います。調査・検査する立場から業務を通じてサポートできればと思っています。

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